損益分岐点・・・なんだか難しそう。
漢字が多いからとっつきにくいよね。
でも、意外と簡単だから大丈夫。安心してついてきて。
・損益分岐点の役割を理解する
・損益分岐点の計算方法が身に付く
飲食店の損益分岐点とは?黒字と赤字を見極めるツールです
いきなりですが、あなたは損益分岐点とはなにか説明できますか?
これから開業を目指す方なら知らなくて当然ですが、すでに起業している方で「なんとなく知ってるけれど、よくわからない」という状態でしたら、この機会に、しっかり覚えてくださいね。
損益分岐点の出し方がわかっていないと、具体的な事業計画を立てることができないので、どんぶり勘定になり、「いつの間にか運転資金が尽きた」という悲惨なことになりかねません。
売上高と費用の額が等しくなる点のことを指します。
(この点の売上高のことを損益分岐点売上高という)
損益分岐点は、黒字でも赤字でもない全くのゼロ地点。
ここを基準として、利益が出ているのか、赤字なのかが把握できます。
損益分岐点の書き方を身につければ、商品(料理)の適正なコスト、販売価格、販売数が予想できます。
飲食店の損益分岐点の出し方【計算式】
損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上)
こちらの計算式で算出できます。
飲食店の固定費
固定費とは名前の通り、固定された費用のことです。
つまり、忙しくても暇でも毎月(毎年)ほぼ同じだけかかってくる費用になります。
主な固定費
- 家賃
- リース代
- 支払利息
- 減価償却費
- 固定資産税(償却資産税)
この中には、人によってはないものもありますが、一般的には当てはまることが多いです。
当てはまらないのはどういう場合かというと、
- 賃貸物件ではなく持ち家
- リースを利用せず、全て購入
- 全て自己資金で借入なし
- 高価な厨房機器や備品等を全く使用しない
これが全て当てはまることは稀ですが、一部該当する人はいるでしょう。
僕でいうと、リースは利用していませんので、そこだけ固定費から除外しています。
飲食店の変動費
変動費とは固定費とは違い、売上(来客数)によって変動する費用のことです。
主な変動費
- 人件費
- 食材費
- 消耗品費
- 水道光熱費
- 販売促進費
この中で除外するものがあるとしたら、
- 従業員が家族か固定給の社員のみ、アルバイトなし
- チラシやポップなども含め、一切、販売促進費を使わない
こいった場合は食材費と消耗品費、そして水道光熱費だけ済みます。
人件費は固定費とする考えもありますが、一般的にはアルバイトやパートスタッフがいることが多いでしょうし、固定給の社員にも、忙しければ賞与や昇給もあるかもしれませんので、ここでは変動費に入れています。
固定費、変動費ともに、交通費や通信費、交際費など、他にも細々とありますが、ここでは分かりやすいように主な費用だけ抜き出しました。
飲食店の損益分岐点を実際に出してみよう
仮の数字を設定して、計算してみましょう。
固定費25万円
変動費35万円
売上100万円
こちらで先程の計算式に当てはめてみます。
損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上)
損益分岐点=25万円÷(1-35万円÷100万円)=25万円÷(1-0.35)=38.5万円
損益分岐点が38.5万円ですので、38.5万円以上売上があれば黒字です。
ここでは売上が100万円ありますので、
100万円-38.5万円=61.5万円
つまり、61.5万円の黒字ということになります。
ではもう一度計算してみましょう。
今度は売上を半分の50万円に設定します。
固定費 25万円
変動費 35万円
売上 50万円
損益分岐点=25万円÷(1-35万円÷50万円)=25万円÷(1-0.7)=83万円
損益分岐点が83万円ですので、売上が50万円の場合、
50万円-83万円=-33万円
33万円の赤字になりました。
損益分岐点で赤字になった場合の対応策は3つ
赤字を改善するには、3つの方法があります。
- 固定費を下げる
- 変動費を下げる
- 売り上げを伸ばす
つまり、費用を下げて売り上げを上げるということ。
「そんなこと当たり前だろ」と言われそうですが、方法としてはこれしかないんです。
その中でも、固定費と売り上げの改善は簡単ではありません。
まずは変動費を下げることから取り組みます。
変動費を下げる
例えばですが、これらは今すぐにでも改善できます。
- アルバイトの時間を短くしたり、人数を減らす
- 料理の原価率を下げる
- 消耗品を大事に使う
- 余計な買い物をしない
要するに無駄な出費を減らし、ドケチになる。
あまり徹底しすぎると、精神的にしんどくなるので、やり過ぎは禁物ですが、赤字の場合はそうもいってられませんよね。
店の存続のため、覚悟を決めて取り組みましょう。
売り上げを伸ばす
次に取り組むのが、売り上げ向上のための施策です。
売り上げを上げるためには集客が大事なのですが、残念ながら、費用をかけずにすぐに結果が出る方法はありません。
SNSを使った無料の集客方法はありますが、どうしても時間がかかってしまいます。
一番早くて、無料で取り組める方法は客単価のアップと、リピーターの確保です。
客単価アップといっても、いきなりメニューを一新する必要はありません。
まずは今あるメニューに付加価値をプラスして価格を上げましょう。
ここで重要なのは、値上げ金額の10倍の付加価値をつけること。
それ相当の価値程度ではいけません。
その程度だと、お客様は「前の方が良かった」と感じるでしょう。
10倍といっても感覚的なものですが、圧倒的に以前より良くなった、お得になったと客様に感じていただければ大成功です。
値上げではなく、商品の価値が変わったので価格を見直したというスタンスが大事。
どのメニューに力を入れるか判断するには、ABC分析を使います。
ABC分析のA\Aやそれに近いところから改善していきましょう。
ABC分析についてはこちらの記事をご参照ください。
固定費を下げる
最後に取り組むのが固定費についてですが、ここで下げられるとしたらおそらく家賃ぐらいです。
管理会社や大家さんに事情を話し、家賃交渉してみましょう。
その際、「経営が厳しいので家賃を下げて欲しい」というだけではダメです。
店の経営状態がわかるものを用意して、なぜ家賃を下げて欲しいか、家賃を下げてもらうことでどう変わるのかを具体的に説明できるようにしましょう。
大家さんにとって一番辛いのはテナントが空いていることです。
それを避けたいと考えていただければ可能性はあります。
ただし、大家さんも生活がかかっていますので、家賃交渉はかなり厳しいと覚悟してください。
要望が通ればラッキー、「ダメでもともと」くらいに考えておきましょう。
飲食店の経営には損益分岐点が重要【まとめ】
- 損益分岐点とは売上高と費用の額が等しくなる点のこと
- 儲かっているのか、それとも赤字なのかがわかる
- 定期的に計算することで、手遅れになる前に改善策が打てる