・事業の準備中や、開業後に必要なお金の知識が身に付く
・すぐに取り組める売上を上げるための手法が理解できる
【飲食店経営】事前準備は重要!開業前に役立つノウハウ
飲食店は開業する前から勝負が始まっています。
ここでは準備期間中にする重要な作業からお伝えします。
飲食店の開業費はいくらかかる?事業計画書で戦略を練る
飲食店を開業するのにかかる費用の内訳はこちら。
- 物件取得
- 内装(外装)工事
- 厨房機器・設備
- 什器備品
- 調度品
- 食材など仕入れ
- その他諸経費
これに加え、ある程度の運転資金が必要です。
店の業態によって金額がかなり変わってくるのですが、一般的なフレンチやイタリアレストランでしたら、10坪の店舗でで500万〜1000万ほどが相場です。
これは居抜き物件か、スケルトン物件にするかで大きく変わります。
正確な金額をだすには事業計画書を作りましょう。
事業計画書作りは経営の柱になるとても重要な作業です。
文字通り、これから始める事業の計画ですので、いい加減に作ってしまうと開業後が大変。
うまくいったとしても、「毎日忙しいけど、先が見えない」というつらい状態に陥ってしまします。
事業計画書についてはこちらをご参照ください↓
飲食店開業に必要な事業計画書の書き方|テンプレート+補足資料が効果的 | ゼロから飲食店を開業する方法
飲食店の原価率は利益を左右する大きなポイント
ここまで読んでいただいた方は、原価率について知識がある方も多いでしょう。
食材原価率の目安は30%です。
20%〜50%くらいで展開して、平均値を30%で抑えるのが一般的ですね。
しかし、最近はお客様がコスパを求める欲求が大きくなり、店側もそれに応じるため、原価率が平均で40%を超えるケースが増えてきました。
1人でやりくりするならそれでもいいのですが、従業員を雇っているならかなりキツイです。
原価率を上げてお客様を呼ぶのは薄利多売になるのでおすすめできません。
料理の付加価値を上げる方法は他にもあるので、安売りは避けましょう。
例えば、食器にこだわる。
これだけで、料金が1.5倍になっても満足していただけるお客様はたくさんおられます。
初期費用は高くつきますが、割れない限りはずっと使えるので価値のある投資。
お皿がずっと売上を上げてくれるのですから、大袈裟にいえば不労所得ですね。
食器の件はあくまでも一例です。
食材原価を20%〜30%にしてもお客様を満足させるにはどうすればよいかを考えましょう。
あと、値上げについて。
近年は食材の値上げが著しいです。
ある程度は店が我慢する必要がありますが、できるだけ早い段階でそのメニューをやめるか、改良して値上げするなど対処しましょう。
この改良してというところがミソで、ただ単に値上げするのではなく、付加価値を付けて原価を調節すると、お客様にマイナスイメージを持たれるどころか、逆に喜んでいただけますよ。
飲食店が火災保険や店舗保険には必ず入った方がいい理由
開業資金や運転資金は少しでも残しておきたいと考えるのが心情です。
しかし、保険はめちゃくちゃ大事。絶対入ったほうがいいです。
客商売をしている以上、思いもよらないトラブルが起こりえます。
参考までに、僕が過去に経験した驚きのトラブルをご紹介しますね。
- 飼い犬を店内に入れたいと主張されたお客様がいたので、テラス席にご案内。
- お客様は飼い犬を「家族だから、ええやろ」とおっしゃいましたが、物件の契約ルールに従い、丁重にお断りしました。
- 無理やり入ろうとしたお客様を止めようとして、スタッフが入り口で揉み合いになり、その際、怪我をしたと主張。
- 確かに突き指っぽい感じだったので、(ちょっと怪しかったのですが、嘘でしょとも言えないので・・・)丁重にお詫びしたのですが、大声で騒ぎ、スタッフに絡んできたので、警察に連絡。
- 警察官にその場を収めてもらったものの、絡まれたスタッフは事情聴取のため、警察署に連れて行かれる。(3時間後に家族に迎えにきてもらい、帰宅できたそうです)
- 保険会社に連絡して弁護士をつけてもらい、その後はそちらで対処を依頼。
保険会社が弁護士に支払った金額は約40万円。
最初の相談と、ファックスで被害者と数回やり取りしただけでこれだけかかっています。
(被害者は結局、治療費を請求されなかったそうです)
僕は物件の管理会社が指定する火災保険に、店舗保険のようなものが特約でついていたので、1円も支払わずに済みました。
しかし、保険が下りるまでは、どうしたらよいかわからず不安でしかたなかったです。
「100万円とか請求されたらどうしよう。そんなお金ない。(被害にあった)スタッフにも少し負担してもらえないだろうか」と真剣に考えていたのを覚えています。←最低の経営者です。この時は本当にどうかしてました。
このような事態に備えて、お客様とのトラブルに使える保険には必ず入りましょう。
トラブルにより、店を休んだ時に売り上げ分を保証してもらえる休業補償がついた保険もありますが、これは店舗の規模で選ぶとよいです。
保険料が高いので、僕は今でも入っていません。
どんな保険に入れはよいかは店舗によって異なりますので、いくつか見積もりをだしてもらい、検討するとよいでしょう。
最大16社から一括見積もりできる便利なサービスもあります。→火災保険の一括見積もり
【飲食店経営】失敗を恐れるな!開業後に役立つノウハウ
開業したら、待ったなしに時間が過ぎていきます。
日々の忙しさに追われて、目の前のことばかり関心がいくと思いますが、それでは経営者失格です。
現場がいくらうまくいっていても、数字の管理を怠ると絶対成功しません。
ここでは利益に直結する重要な作業をご紹介します。
飲食店の在庫管理は最初が肝心!食材ロスを減らす
店の在庫に関して、神経質なくらい気を配りましょう。
在庫は店の資産ですが、売れないものはやがて賞味期限がきて廃棄になるので、減少します。
なにもしていないのに、お金が減っていくわけです。
売る事は重要ですが、在庫でロスがでるとそれだけ利益が減ってしまうのでもったいないです。
廃棄するものが多いと、「いくら売っても全然儲からない現象」に陥ります。
それを防ぐためにも、店の在庫を常に把握する必要があります。
そのための方法はいくつかありますが、僕は棚卸しを月1回することをおすすめします。
棚卸しとは、エクセルなどで在庫品のリストを作り、そこに数字を入れていきます。
商品名 | 個数 | 単価 | 合計金額 |
---|---|---|---|
ピュアオリーブオイル | 2本 | 1,000 | 2,000 |
トマトホール缶 | 10缶 | 500 | 5,000 |
こちらはサンプルなので詳しく書いていませんが、商品名はメーカーなどを記入し、どの商品なのか誰でもわかるようにします。
新たに購入したものはその都度たしていき、仕入れ値の変更があれば忘れず変えていきましょう。
賞味期限や仕入れ先なども記入した方が良いのですが、あまり項目を増やすと、棚卸しに時間がかかり過ぎるので、表のように商品名・個数・価格に絞った方が継続できます。
飲食店のFLコストを把握する|【FL比率】が重要
FLコストとは、食材費と人件費を足したものです。
- Food(食材費)
- Labor(人件費)
FL比率とは、売上高に対してのFLコストの比率。
(食材費+人件費)÷ 売上高
飲食店はFLコストが最も大きいコストなので、ここをいかに抑えるかが利益に直結します。
FL比率の目安
Food(食材費) 25%〜35%
Labor(人件費) 25%〜35%
合計で60%以下になれば利益が確保できます。
一般的には、売上高の30%が家賃、水道光熱費、消耗品費など、その他の経費としてかかってきますので、
売上高(100%)ーFL比率(60%)ーその他の経費(30%)=利益(10%)
となります。
その他の経費を減らすことは難しいので、FL比率が利益の鍵を握っています。
つまり、 FL比率が70%の場合、利益はゼロ。80%だと 10%の赤字になるので注意しましょう。
飲食店の売り上げ向上に最も関わるのが【顧客管理】
いくら素晴らしいメニューを作っても、来客が少ないと売り上げがあがりません。
そして、新規顧客を獲得し続けるのは、コストもかかりますし、難しいです。
では、どうすればよいのかというと、「リピーターを増やして、来店回数を増やす」ことが最も簡単でコストがかかりません。
そのためには、ただ待つだけでなく、こちらからのアプローチが必要です。
顧客管理に関してはこちらの記事をご参照ください。
飲食店は顧客管理をサボってはダメ!【LINE公式アカウントは必須】 | ゼロから飲食店を開業する方法
売れないメニューの放置は厳禁!ABC分析を活用
ABC分析とは、メニューを販売数や売上高などからABCとランク付けし、感覚ではなく、数字で商品の売れ行きを把握するための方法です。
これをすることで、売れているメニューや利益率の高いメニューなどが明確に把握できるので、今後の展開に役立ちます。
現場で仕事をしていると、どうしても「最近、前菜盛り合わせのオーダーが多いよね」「久しぶりにリゾット作った」など感覚的に物事を捉えがちです。
しかし、ABC分析をしてみると、その感覚が間違っていることが多いことに驚くでしょう。
具体的な数字で成績を出し、よいものはバリエーションを増やして横に展開する、ダメなものは改善するか思い切ってやめるという繰り返しが、利益を向上させるためには必須です。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
飲食店のABC分析はエクセルを使うと便利|簡単テンプレートを無料プレゼント
飲食店はカード決済・電子マネー決済を導入すべき【経験談】
カードや電子マネー決済は、お客様が使用すると、店側に手数料がかかる仕組みになっています。
一部、キャンペーンなどで無料など、例外はありますが、手数料は3%前後が一般的です。
これだけ聞くと、「手数料を払うのがもったいないから、現金のみでいい」と思いますよね?
僕も開店当初はそう考えて取り扱っていませんでした。
しかし、それは大きな勘違いだったことに導入してから気付いたんです。
カード・電子マネー決済導入後に僕が感じた3つのメリット
- レジの打ち間違いがなくなった
- リピーターさんの来店頻度が増えた
- お釣り用に用意するお金の両替の手間が減った
経験のある方ならわかりますが、両替って手数料がかからないようにするにはかなりめんどくさい。
カード・電子マネー決済ができるというのは、想像していたよりアドバンテージが高かったです。
特に現在はスマホの普及や政府の後押しもあって、現金よりカードや電子マネーをメインに使う人が増えました。
少し前ならあり得なかったのですが、ランチを割り勘でそれぞれカード払いなんてことがザラにあります。
以前は、「安いものをカードで買うなんて、店の人に失礼だろ」という感覚があったのですが、今は違います。
もはやキャッシュレスは多くの方にとって生活の一部となりました。
手数料惜しさに現金決済だけにしてしまうと、新規顧客、リピーターの来店回数に悪い影響を及ぼしかねません。
損して得とれの精神で、最初から導入することをおすすめします。
僕の店はリクルートの「エアレジ 」を使用しています。
レジシステム自体は無料で使え、ほぼ全ての一般的なカードや電子マネーに対応しているので、とても便利。
カード端末の貸し出しは、時期によって有料になるかもしれませんが、今のところ、ずっとキャンペーンを継続していて、0円で導入できます。(導入は無料ですが、カードや電子マネーを使用すると所定の決済手数料がかかります)
・Wi-Fi環境(スマホの電波でもなんとか使えます)
・タブレット(スマートフォン)
・ドロア(金庫)
・レシートプリンタ
ドロア(金庫)とレシートプリンタはアプリに対応したものを使うと、Bluetoothでつながるので普通のレジのように使えます。
飲食店経営成功するためのお金に関するノウハウ【まとめ】
飲食店の経営者がすべきことは、実はそれほど多くはありません。
しかし、この記事を読んでくださている方のほとんどは、経営だけでなく、自らが現場で調理やサービスをされると思います。
飲食店の経営者が大変なのは、他業種に比べ、現場の仕事量がとても多いことです。
僕みたいな小さな店のオーナーシェフだと、繁盛すればするほど、現場優先になり、経営者としての数字の管理がずさんになってきます。
しかし、ここで流れに身を任せて、思考停止してしまうと何かあったとき、たちまち店の財政が傾きます。
毎日、忙しくて大変ですが、経営者としての仕事の時間は無理やりでも作ってください。
これができないから、飲食店は廃業率が高いと言っても過言ではありません。
現場での仕事と、経営者としての仕事のバランスが重要。
すべて自分でするという考えを捨て、あなた以外でもできる仕事は積極的にスタッフに任せましょう。
飲食店開業までのロードマップはこちら↓